「髪は女の命」。古来、女性の美しさの象徴はいつも髪だった

古来、「髪は女の命」といわれてきました。人間にとって本来いちばん重要であるはずの”命”に、髪はたとえられてきたのです。それほどに女性にとって髪は大切なものとされてきたということです。

女性の黒髪というと、まず思い浮かぶのは平安時代の絵巻などではないでしょうか。十二単を着た平安朝の貴族の姫君たちは、その裾まで届きそうに長く、つややかな黒髪を誇っています。実際、その髪の長さは背丈ほどもあったといいます。

女性はその髪を結わずに、そのまま長く垂らしていました。そしてこの平安時代、美しい女性の条件とされたのは「和歌の才能」と、この「髪の長さ」だったのです。もちろん長いだけではなく、黒く、まっすぐで、つややかであることも重要でした。

当時の貴族は入浴をする習慣があまりなく、じつは体も不衛生だったといいます。しかしながら、姫君たちは髪の手入れにだけは余念がありませんでした。米のとぎ汁などで潤いを与えながら髪をくしけずり、その後は香木を焚いて髪に香りをつける工夫もしていたそうです。やはりそれほどに髪は女性にとって大切なものだったわけです。

それは時代が移っても、変わることはありませんでした。

江戸時代になると、女性たちは髪をさまざまな形に結うようになります。当時、女性の髪型は身分や年齢、立場、職業によって、じつに数百もの種類があり、それも流行とともにどんどん変わっていったとか。これは今の時代のおしゃれ感や流行とも少しも変わりがありませんね。

さらに明治時代には、歌人の与謝野晶子が「その子二十(はたち)櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな」——20歳の女性にとって、すべり流れるような自慢の黒髪こそ、青春時代の美しさの象徴である——という歌を詠んでいます。

このことからも、いつの時代も女性たちがどれほど髪を大事に思い、髪型にこだわりを持ってきたかがわかります。

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